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「恐竜界の掃除機」や「芝刈り機」とも呼ばれるユニークな恐竜。
その平たい口先と何百本もの歯が一列に並ぶ姿は、一度見たら忘れられません。
独特な顔と歯のしくみ
ニジェールサウルスの頭骨は、見た目だけでなく構造も非常に特徴的です。
極端に軽量化されており、研究者からは「ほとんど透明に近い」と表現されるほど、繊細で脆い骨格をしています。
口の先端には、上下それぞれに約60本の小さな歯が横一列に並んでおり、これらは非常に摩耗しやすかったため、常に予備の歯がスタンバイされている「デンタルバッテリー」という構造になっていました。
予備の歯も含めると、口の中には約500本もの歯が並んでいたとされ、しかもそれらは約14日という短い周期で新しい歯に生え変わっていたそうです。

Bernard Sandler, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons
食性
他の竜脚類に比べて、ニジェールサウルスの首の骨は一つ一つが短く、全体としても比較的短い首をしていました。
この構造は、首を地面近くに保つのに適していて、低い位置に生えている植物を効率よく食べるのに役立っていたと考えられています。
実際には、「シダ類」や「シダ種子植物(絶滅した植物)」などを“草刈り機のように”食べていたと推測されています。
当時出現し始めた草や被子植物も利用していたかもしれませんね。
こうした特徴から、ニジェールサウルスは他の竜脚類があまり利用しなかった地面近くの植物を主な食料とすることで、独自の生活の場(ニッチ)を築いていたのでしょう。
研究史
ニジェールサウルスの名前は、化石が発見されたニジェール共和国にちなんで名付けられました。
種小名「タケティ(taqueti)」は、発見に尽力したフランスの古生物学者フィリップ・タケ氏への敬意を表しています。
最初に化石が報告されたのは1970年代ですが、骨が非常に壊れやすく、復元が難しかったため、長らく詳しい姿は分かっていませんでした。
本格的に注目されたのは2000年代に入り、ポール・セレノ博士らによって復元骨格が発表されてからです。
その後の研究によって、首の構造や歯の仕組み、食性などが明らかになり、ニジェールサウルスは竜脚類の中でも特にユニークな存在として注目を集めるようになりました。
分類
恐竜
- 竜盤目
- 獣脚類
- 竜脚形類
- 原竜脚類
- 竜脚類
- マクロナリア
- カマラサウルス科
- ブラキオサウルス科
- ティタノサウルス形類
- マメンチサウルス科
- ディプロドクス類(上科)
- ディプロドクス科
- レッバキサウルス科
- レッバキサウルス
-
ニジェールサウルス
- マクロナリア
- 鳥盤目
- 周飾頭類
- 角竜類
- 堅頭竜類
- 装盾類
- 剣竜類
- 曲竜類
- 鳥脚類
- 周飾頭類