アーケオプテリクス

アーケオプテリクス

Archaeopteryx
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  • 🏷️種 lithographica(リトグラフィカ)、siemensii(シーメンシイ)、albersdoerferi(アルベルスドエルフェリ)
  • 🕰️時代 ジュラ紀後期(約1億5,000万年前)
  • 🌏発見地 ドイツ
  • 📐全長 約50〜60cm(翼開長は約70cm前後)

アーケオプテリクスは「始祖鳥(しそちょう)」の名で知られる小型の恐竜です。
カラスほどの大きさで、鳥のような立派な羽毛を持ちながら、口には鋭い歯、翼には爪が残る、まさに鳥と恐竜の中間と言える存在です。
ダーウィンが『種の起源』を発表した2年後に発見され、世界中の人が興味を示した生物です。

アーケオプテリクス の画像

鳥? 恐竜?

アーケオプテリクスの最大の特徴は、恐竜(非鳥類型恐竜)と鳥類の身体的特徴が混ざり合っている点です。

一見すると鳥のように見えますが、その体つきは小型の肉食恐竜そのものです。 現代の鳥類にはない「鋭い歯」、「翼に残る3本の指(爪)」、そして「骨のある長い尾」を持っています。

一方で、全身は「風切羽」と呼ばれる左右非対称の羽毛で覆われており、叉骨が癒合してV字型になっているなど、鳥類特有の特徴も備えています。

【最初に発見されたアーケオプテリクスの羽根】
(その後の研究で、他の羽毛恐竜のものである可能性も浮上している)
Thomas G. Kaye, Michael Pittman, Gerald Mayr, Daniela Schwarz, Xing Xu (modified by Gretarsson), CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

このことから、アーケオプテリクスは「羽毛恐竜」から「鳥類」へと進化する、ちょうど過渡期の生き物だったと考えられています。

飛行能力

彼らが大空を自由に飛べたのかどうかについては、長年議論が続いています。

現在の鳥類には、飛ぶための強靭な筋肉を支える「竜骨突起」という胸の骨の出っ張りがありますが、アーケオプテリクスにはこれがありません。 そのため、現在のハトやカラスのように力強く羽ばたいて飛び回ることは難しかったと考えられています。

しかし、翼の構造自体は揚力を生み出すのに適しており、最近の研究では「キジ」などのように、危険を感じた時にバタバタと短距離を飛んだり、木から木へ滑空したりすることはできたのではないかと推測されています。

【鳥の竜骨突起】
I, Toony, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

羽毛の色

近年の科学技術の進歩により、アーケオプテリクスの「色」についての研究も進んでいます。

化石に残されたメラノソーム(色素を含む細胞小器官)を電子顕微鏡で解析した結果、少なくとも翼の羽毛の一部は「黒色」であった可能性が高いことがわかりました。

カラスのように真っ黒だったのか、あるいは白黒模様だったのか……
まだ私たちが想像を膨らませる余地はたくさんあります。

研究史

アーケオプテリクスという名前は、ギリシャ語で「古代の翼(Archae=古代の、pteryx=翼)」という意味です。

最初の発見は1860年、ドイツのゾルンホーフェンという場所で、「一枚の羽毛」の化石が見つかったことから始まりました。 その翌年の1861年、全身の骨格が見つかり、世界中に衝撃が走ります。

なぜなら、チャールズ・ダーウィンが『種の起源』を発表し、進化論を世に問うたのがそのわずか2年前(1859年)だったからです。
それまでは「すべての生物は神が想像したものであり、最初からその姿だった」という考えが一般的でした。
そこに、まさしく恐竜から鳥に変化していく途中の姿が発表されたのですから、その衝撃は相当なものだったことでしょう。

【ベルリン自然史博物館のアーケオプテリクス】
H. Raab (User: Vesta), CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

発見された地層は、きめ細かな石灰岩の産地であったため、羽毛の痕跡まで驚くほど詳細に保存されていました。
種小名の「リトグラフィカ」は、この石版(リトグラフ)に由来しています。

現在では、中国などでより古い時代の羽毛恐竜や原始的な鳥類が見つかっており、「最古の鳥」の座は揺らぎつつありますが、彼らが進化の歴史を語る上で特別な存在であることに変わりはありません。

大きさくらべ

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分類

恐竜

  • 竜盤目
    • 獣脚類
      • テタヌラ類
        • コエルロサウルス類
          • ティラノサウルス科
          • マニラプトル類
            • トロオドン科
            • ドロマエオサウルス科
              • ヴェロキラプトル
            • 鳥翼類
              • アーケオプテリクス科
                • アーケオプテリクス

              • 鳥群
                • カラス、スズメ、ダチョウなど
      • ケラトサウルス類など
    • 竜脚形類
  • 鳥盤目
    • 周飾頭類
      • 角竜類
      • 堅頭竜類
    • 装盾類
      • 剣竜類
      • 曲竜類
    • 鳥脚類

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