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「魚のようなトカゲ」の名を持つ、海で暮らすために進化した爬虫類(魚竜)の一種です。
イルカにそっくりな姿で、恐竜時代の大海原を自在に泳ぎ回っていました。
イルカにそっくり
イクチオサウルスの姿を見れば、誰もが「イルカにそっくりだ」と感じるでしょう。
しかしイルカは「哺乳類」で、イクチオサウルスは「爬虫類」です。
これは、全く異なる生物が、同じ「水中生活」という環境に適応した結果、似た姿に進化する「収斂進化(しゅうれんしんか)」の代表例です。
それでもよく見ればイルカとは体の構造が違います。一番の違いは尾びれの向きでしょう。
イルカ(哺乳類)は尾びれが水平で、体を上下にくねらせて泳ぎます。これは、陸上を走る哺乳類の背骨の動きを継承しているためです。
我々も哺乳類なので、泳ぐときのバタ足は縦の動きですね。
対して、イクチオサウルス(爬虫類)は尾びれが垂直で、魚のように体を左右に振って泳いでいました。
また、イクチオサウルスの尾びれの中には「下側に曲がった背骨」が通っていましたが、イルカの尾びれには骨がなく、筋肉と脂肪でできています。

Paul Hermans, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
能力
イクチオサウルスの耳の骨はしっかりしています。
現代の魚と同様に「耳の穴」はありませんが、水中の振動を感じとる能力はあったようです。
それより特徴的なのが「大きな目」で、光の届きにくい深い海の中でも獲物であるアンモナイトや魚を正確に見つけ出すことができたと考えられています。
Ghedoghedo, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
卵胎生
現代のウミガメがそうであるように、いくら水中生活に適応していても、基本的に爬虫類は卵を陸地に産まなければなりません。
爬虫類は肺呼吸であり、卵も酸素を必要とするからです。
しかし完全に水中生活に適応したイクチオサウルスは、陸に上がることができませんでした。
そのため、お腹の中で卵を孵し、赤ちゃんを直接産む「卵胎生(らんたいせい)」という仕組みを持っていました。
母親の胎内に子供がいる化石や、まさに産まれている途中の化石も発見されており、水中での出産シーンが科学的に証明されています。

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研究史
1811~1812年、イギリスの有名な化石採集家であるメアリー・アニングと、その兄ジョセフ・アニングによって、保存状態の良い全身骨格が発見されました。

public domain
名前の由来は、ギリシャ語の「ichthys(魚)」と「sauros(トカゲ)」を組み合わせたものです。
ダーウィンの進化論が発表されるより40年以上も前だったので、当時は「生物は神が作ったもので不変である」と考えられていました。
魚のようなトカゲのようなイクチオサウルスは、それまでの常識を覆す姿をしており、「古生物学」という学問が確立されるきっかけにもなったそうです。
分類
爬虫類
- 双弓類
- 魚竜形類
- 魚竜類
- ショニサウルス科
- オフタルモサウルス科
- イクチオサウルス科
-
イクチオサウルス
-
- 魚竜類
- 鱗竜形類(トカゲ、ヘビ、モササウルスなど)
- 鰭竜類(首長竜など)
- 主竜形類(恐竜、翼竜、ワニなど)
- 魚竜形類
