
イグアノドンは、親指のようなトゲ(スパイク)が特徴的な草食恐竜です。
恐竜という言葉が生まれるよりも前に、人類がその存在を知るきっかけとなった、歴史的にも重要な恐竜のひとつです。

発見の歴史
1822年、イギリスの産科医であり化石収集家でもあったギデオン・マンテルが、診療の帰りに道路工事現場で大きな歯の化石を発見したことが始まりです。
マンテルはこの歯の正体を解明するため、当時の科学者たちに相談しましたが、多くの人が魚やサイの歯と誤認しました。
それでも調査を続けたマンテルは、1824年にこの歯がイグアナの歯に似ていることに気づき、
巨大な爬虫類のものだと結論づけて、1825年に「イグアノドン(イグアナの歯を持つ者)」と命名しました。

「恐竜」という概念の誕生
イグアノドンは、メガロサウルス、ヒラエオサウルスと並び、最初期に発見された恐竜のひとつです。
これらの発見により、かつて地球上には巨大な爬虫類が存在していたことが明らかになりました。
そしてイグアノドンの発見から約20年後の1842年、イギリスの解剖学者・古生物学者リチャード・オーウェンが、これらの巨大爬虫類をまとめて「恐竜(Dinosauria)」という新しい分類群を提唱しました。

生活スタイル
「イグアノドン」と、現代の「イグアナ」の歯は形が似ていますが、サイズはなんと20倍以上。しかし体の大きさは5~10倍くらい。
つまりイグアナと比べると体に対して大きな歯を持っており、餌をよく噛み砕いて食べる食性を持っていたと考えられています。
この特徴から、イグアノドンは植物をしっかり噛み砕いて食べる能力があり、活発に行動していたと考えられています。
また、化石の発見状況から、群れで行動していたことが示唆されています。
スペインでは幼体の集中化石も見つかっており、集団繁殖や子育てをしていた可能性もあります。

親指のスパイク
イグアノドンの特徴的な部分の一つに「親指のスパイク」があります。このスパイクは様々な用途で使われた可能性が議論されています。
- 防御: 捕食者に突き刺して身を守る武器として使用された?
- 採食補助: 植物を引き裂く際に役立った?
- ディスプレイ: 仲間や敵に対して存在を誇示するための役割もあった?
現在でも議論が続いており、多機能な器官だった可能性もあります。

Ballista at the English-language Wikipedia, CC BY-SA 3.0,
via Wikimedia Commons
分類
恐竜
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