ボレアロペルタ

ボレアロペルタ

Borealopelta
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  • 🕰️時代 白亜紀前期(約1億1000万年前)
  • 🌏発見地 北アメリカ西部(現在のカナダ・アルバータ州)
  • 📐全長 約5.5メートル

ボレアロペルタは、アンキロサウルスの仲間でありながら、尻尾に棍棒を持たない「ノドサウルス科」に属する鎧竜です。
2011年にカナダで発見された化石は、驚くほど保存状態が良く、皮膚の輪郭や角ばった装甲板、さらには体の色素の痕跡まで確認されました。

まるでタイムスリップしてきたかのようなこの化石は、鎧竜の研究における歴史的な大発見となりました。

ボレアロペルタ の画像

発見のきっかけ

2011年3月21日、カナダ・アルバータ州のオイルサンド採掘場で、重機オペレーターのショーン・ファンクさんがいつも通り作業をしていたところ、土砂の中から不自然な茶色い塊が現れました。最初は「木の化石」かと思われましたが、現場監督が「これは何か特別なものだ」と直感し、ロイヤル・ティレル古生物博物館に連絡が入りました。

古生物学者が現地に駆けつけて確認したところ、それはノドサウルス科の新種で、後に「ボレアロペルタ」と命名されることになります。

化石は一塊のまま慎重に運び出され、博物館に搬入されました。そこからの作業は気の遠くなるようなもので、技師マーク・ミッチェル氏が5年以上かけて岩を削り、細部を丁寧に露出させました。その功績を称え、学名には彼の名前が冠され、「ボレアロペルタ・マークミッチェリ」となりました。

異例の保存状態

この化石は、その保存状態がまさに異例でした。

ケラトプスユウタ, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

ふつう、ヨロイ竜の体を覆う装甲(皮骨)は、化石になるとバラバラになって見つかることが多く、「どの板がどこについていたのか」がはっきりわからない場合があります。
ところがボレアロペルタは、皮骨が生前の配置のまま繋がって見つかりました。そのため、鎧竜の体をほぼ正確に復元することができたのです。

さらに、トゲやツノ、ツメなどは、中の硬い骨の芯の部分だけが化石として残るのが普通です。生きていたときはその外側に角質の鞘(つめや角のようなケラチン)がかぶさっており、本来の大きさは推測に頼らざるを得ません。
しかしボレアロペルタの化石では、この角質の鞘まで保存されていました。これにより、当時の見た目や武器の本当のサイズを、ほぼそのまま再現できたのです。

加えて、メラニン色素の痕跡も残っており、背中は赤褐色系でお腹側は白っぽい色をしていました。
これは「カウンターシェーディング」と呼ばれる保護色で、周囲に溶け込むためのカラーパターンと考えられています。

この化石がここまで保存された理由は、死後すぐに洪水などで海へ流され、酸素の少ない泥の中に沈んだことで腐敗せずに鉱物化したためと考えられています。

食性

ボレアロペルタは胃の内容物も確認されています。

その88%がシダ類で占められていました。これに加えて、裸子植物(マツなどの針葉樹やソテツ類)の葉や種子が少量含まれており、多様な植物を食べていたことがわかります。

さらに注目すべきは、内容物の約6%が木炭片だったことです。これは、ボレアロペルタが森林火災後の焼け跡で新しく芽吹いた植物を採食していた可能性を示します。火災後の植生回復地帯は、柔らかく栄養価の高い若葉が豊富で、鎧竜のような大型草食動物にとって魅力的な食料源だったと考えられます。

歯は小さく葉形で、縁に鋸歯状の刻みがあり、低い位置に生える植物を切り取るのに適していました。顎の構造は上下方向の単純な動きしかできず、反復的なすり潰し咀嚼はできなかったため、飲み込んだ後は胃の中で『胃石』を使って物理的に砕いて消化していたとみられます。

研究史

「ボレアロペルタ」という名前は、「北の盾」という意味で、北方に生息していた鎧竜であることを表しています。

2017年に正式に発表されると、「史上最も美しい鎧竜化石」として世界中のメディアが報道。
現在もロイヤル・ティレル博物館で展示されており、夜になったら動き出しても違和感がないほど、リアルな姿で保存されています。

『違和感が無い』ということは、『我々がイメージしていた恐竜の姿は正しかった』ということです。
つまり、今までの研究結果に対して答え合わせができたということです。

これほどの保存状態で残っている化石は奇跡的です。
しかし、恐竜時代は約1億6,000万年という長い期間がありました。その中で、奇跡の化石が1体だけということはないはずです。今後、どんなすごい化石が発見されるのか──そう考えると、古生物学の未来にワクワクが止まりません。

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