
長い首を高く伸ばして木の葉を食べる、まるで“恐竜界のキリン”──それがブラキオサウルスです。
映画『ジュラシック・パーク』では最初に登場する恐竜として印象深く、「恐竜ってこんなに大きいんだ!」という衝撃を多くの人に与えました。
その優雅で堂々たる姿は、今もなお人気の高い植物食恐竜の代表格です。

食性と生態
ブラキオサウルスは、前脚が後脚より長いという珍しい特徴を持つ竜脚類です。
この構造により、体の前方が高く持ち上がり、首を高く伸ばして樹木の上部の葉を食べることができました。
他の竜脚類(例:ディプロドクス)が地面近くの植物を食べていたのに対し、食べ物の棲み分けができていたと考えられています。
頭は比較的小さく、軽量化されていました。
歯は鉛筆のようにとがっており、葉をむしり取るのに適した形状です。
咀嚼は行わず、丸呑みして胃の中の石(胃石)で消化していたと考えられています。

鼻の穴の位置
ブラキオサウルスの頭骨を見ると、鼻の穴が“おでこ”の位置にあります。
発見当初は、体が非常に大きいため、水中で浮力を利用して生活していたと考えられていました。
そのため、イルカやクジラのように水面で呼吸するために、鼻の穴が頭部にあるとされていたのです。
しかしその後の研究で、ブラキオサウルスの体は軽量化されており、陸上で生活していたことが明らかになりました。
このため、鼻の穴が頭頂部にあるという解釈は見直されることになりました。
人間の場合もそうですが、頭骨上の鼻の位置と実際の鼻の穴の位置は一致しないことがあります。
同様に、ブラキオサウルスの鼻の穴も実際にはもっと前方にあったというのが現在の有力な説です。
嗅覚は食べ物の識別に使われるため、口に近い位置に鼻の穴がある方が自然ですね。
研究史
「ブラキオサウルス」という名前は、「腕トカゲ」という意味で、1890年代にアメリカの古生物学者エルマー・S・リッグスが、前脚が異様に長いことから命名しました。
なお、ブラキオサウルスという名前で呼ばれていた化石の中には、実は別の種(ジラファティタンなど)が含まれていたことが判明し、分類の見直しが現在も進められています。
分類
恐竜
- 竜盤目
- 獣脚類
- 竜脚形類
- 竜脚類
- ディプロドクス科
- ティタノサウルス科
- マメンチサウルス科
- ブラキオサウルス科
- ジラファティタン
-
ブラキオサウルス
- 竜脚類
- 鳥盤目
- 周飾頭類
- 角竜類
- 堅頭竜類
- 装盾類
- 剣竜類
- 曲竜類
- 鳥脚類
- 周飾頭類