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マッソスポンディルスは、ジュラ紀前期に生息していた中型の植物食恐竜で、比較的スマートな体型をしていました。
ブラキオサウルス達の進化前に当たる「基盤的竜脚形類」(かつては原竜脚類と呼ばれたグループ)に属し、細長い首と尾、樽型の胴体が特徴です。
巣や卵、その中の胚の化石も見つかっていて、恐竜の子育てや成長に関する研究に役立っています。
基盤的竜脚形類
マッソスポンディルスは、のちにブラキオサウルスなどの巨大な竜脚類🦕へと進化していく系統の初期に位置する恐竜で、まさに「進化の途中段階」のような体の構造をしています。
全長は約4〜5メートルで、細長い首と尾、比較的軽量な体を持っていました。
胴体は丸みを帯びていますが、のちの竜脚類のような極端に大きな腹部ではなく、全体的に引き締まった体つきです。
前脚よりも後脚が長いため、通常は二足歩行だったと考えられています。
ただし、低い植物を食べるときや休むときには、四足歩行の姿勢をとっていた可能性もあります。
手は5本指で、親指には大きな鉤爪(かぎづめ)がありました。
この爪は、枝を引き寄せたり、捕食者から身を守るために使われたと考えられています。
この鉤爪は、進化後の竜脚類の一部にも受け継がれています。
子育てと成長
南アフリカのカロオ盆地では、約1億9000万年前の地層から、巣・卵・胚(生まれる前の赤ちゃん)の化石が発見されています。
これは、世界最古級の恐竜の巣の一つとされています。

Jonathan Chen, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
少なくとも6つ以上の巣が同じ場所に重なって保存されていたことから、マッソスポンディルスが繁殖地に何度も戻って巣作りをしていた(帰巣行動)可能性が高いと考えられています。
卵の直径は約6センチで、薄い殻を持ち、きれいに並べられていました。
内部からは胚が見つかっており、骨格の分析から、孵化直後の子どもは四足歩行だったことがわかっています。つまり、成長に伴って二足歩行へと変化していったと考えられます。

Nobu Tamura (http://spinops.blogspot.com), CC BY 3.0, via Wikimedia Commons
また、孵化直後の幼体は、成体に比べて頭が大きく、四肢が短い「子どもらしい体型」をしており、ある程度の保護がなければ生き延びるのが難しかったと考えられています。
さらに、巣に残された卵の配置や胚の成長段階がそろっていることから、卵をまとめて産み、孵化まで世話をしていた可能性も示唆されています。
成体が巣を守ったり、孵化後もしばらく子どもと一緒に行動していたと考えられています。
これは、恐竜が単に卵を産みっぱなしにしていたのではなく、ある程度の子育て行動をしていた最古の証拠の一つです。
研究史
マッソスポンディルスの化石は、南アフリカのカロオ盆地で発見され、「Dinosaur(ダイナソー)」という名前を考えたことで有名なリチャード・オーウェンによって1854年に正式に記載されました。
これまでに100体を超える個体の化石が見つかっており、成長段階・姿勢・繁殖行動など、初期の恐竜の生態を解明するうえで非常に重要な資料となっています。
また、1980年代以降には北アメリカ(アリゾナ州など)からも近縁種が報告されており、このグループがかつて広範囲に分布していたことが示唆されています。

Lock and Whitfield, published by Sampson Low, Marston, Searle and Rivington (see [1], Public domain, via Wikimedia Commons
分類
恐竜
- 竜盤目
- 獣脚類
- 竜脚形類
- プラテオサウルス科
- マッソスポンディルス科
- ルーフェンゴサウルス
-
マッソスポンディルス
- 竜脚類
- ブラキオサウルス
- ディプロドクス
- 鳥盤目
- 周飾頭類
- 角竜類
- 堅頭竜類
- 装盾類
- 剣竜類
- 曲竜類
- 鳥脚類
- 周飾頭類