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後頭部の大きなフリルとオウムのようなクチバシが特徴の小型の植物食恐竜です。
トリケラトプスと同じ角竜類に分類されますが、目や鼻に大きな角は持っていません。
モンゴルのゴビ砂漠で数百体もの化石が見つかっており、恐竜の子育てや成長の過程を知る上で非常に重要な、情報たっぷりの恐竜です。
原始の角竜
「プロトケラトプス」という名前は、「最初の角竜」を意味しており、後に巨大な角を持つトリケラトプスへと進化していく角竜類(ケラトプス科)のルーツに近い、原始的なグループに属します。
目立つ角はありませんが、代わりに後頭部のフリル(えり飾り)が発達しているのが特徴です。
このフリルは頭骨の半分近くを占めるほど大きく、防御というよりは、仲間へのアピールや異性への求愛など、視覚的なコミュニケーションのために使われていたと考えられています。

豊富な化石と成長の記録
幼体から成体まで非常に多くの化石が見つかっており、恐竜の成長過程を詳細に追うことができる数少ない例です。
成長に伴ってフリルの割合が大きくなっていくことや、頭の形やフリルの発達に個体差があることが分かっており、性差を反映している可能性も指摘されています。
これほど多くの個体差や成長段階が明らかになっている恐竜は、他にほとんど例がなく、プロトケラトプスは恐竜の発育研究において非常に重要な存在です。

HARRY NGUYEN, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons
格闘化石
プロトケラトプスを語るうえで欠かせないのが、肉食恐竜ヴェロキラプトルとの「格闘化石」です。
この化石では、プロトケラトプスがヴェロキラプトルの腕にかみつき、ヴェロキラプトルがプロトケラトプスに後ろ足の鉤爪を突き立てている、まさに死闘の瞬間がそのまま保存されています。
約7,500万年前、彼らが激しい戦いの最中に突如として砂嵐や砂丘の崩壊に巻き込まれ、瞬時に砂に埋もれたことで、その姿が奇跡的に現代まで残されたと考えられています。

Yuya Tamai from Gifu, Japan, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons
研究史
プロトケラトプスの名前は、「Proto(最初の)」と「Ceratops(角のある顔)」を組み合わせたもので、「最初の角竜」という意味が込められています。
最初の化石は1920年代、アメリカの探検隊がモンゴルのゴビ砂漠を調査した際に発見されました。
独特な頭骨の形状から、古代ギリシャ神話に登場する伝説の生き物「グリフィン」のモデルになったという説もあります。
シルクロードを旅した人々が、ゴビ砂漠でプロトケラトプスの化石、特にくちばしとフリルを持つ頭骨を目にし、それが西方に伝わる中で、鷲の頭とライオンの体を持つ想像上の生物「グリフィン」の物語が生まれたのかもしれません。

Wenceslaus Hollar, CC0, via Wikimedia Commons
分類
恐竜
- 竜盤目
- 獣脚類
- 竜脚形類
- 鳥盤目
- 周飾頭類
- 角竜類
- プシッタコサウルス科
- プロトケラトプス科
- レプトケラトプス
- バガケラトプス
-
プロトケラトプス
- ケラトプス科
- カスモサウルス亜科
- トリケラトプス
- セントロサウルス亜科
- スティラコサウルス
- カスモサウルス亜科
- 堅頭竜類
- 角竜類
- 装盾類
- 剣竜類
- 曲竜類
- 鳥脚類
- 周飾頭類