
シノケラトプスは、アジアで初めて発見された大型の角竜(トリケラトプスの仲間)です。
鼻先には立派な角がありますが、目の上に角はありません。
その代わり、頭の後ろには突起が並んだ大きなフリルがあり、見た目にも印象的な恐竜です。

恐竜の里帰り
シノケラトプスが発見されるまで、アジアで見つかっていた角竜は、プロトケラトプスやプシッタコサウルスのような小型の種類ばかりでした。
これらは角が小さく、フリルも控えめな「原始的な角竜」とされており、「本格的な大型角竜(トリケラトプスのようなタイプ)は北アメリカにしかいなかった」と考えられていました。

つまり、角竜はアジアで誕生し、当時陸続きだったベーリング海峡を渡って北アメリカに移動し、そこで大型化したという進化の流れが想定されていたのです。
しかし、シノケラトプスは全長約6メートルと大型で、北アメリカの進化型角竜に見られる特徴を持っていました。
これは、アジアにも北米型の角竜が存在していたことを示す、非常に驚くべき発見でした。
シノケラトプスは、北米で進化を遂げた角竜が「故郷」であるアジアに戻ってきた、いわば“里帰り恐竜”だったのかもしれません。
このような恐竜の移動と進化の歴史をたどることは、大陸の移動や古代の環境を解明するうえで、非常に重要な研究テーマとなっています。

★Kumiko★ from Tokyo, Japan, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons
フリルの穴
映画『ジュラシック・ワールド/炎の王国』や『映画ドラえもん のび太の新恐竜』に登場したシノケラトプスは、フリルに穴が開いたデザインで描かれていました。

この画像は Steam版『Jurassic World Evolution 2』のプレイ中に筆者が撮影したスクリーンショットです。
著作権は Frontier Developments plc. および Universal City Studios LLC に帰属します。
実際にシノケラトプスの頭骨を見ると、フリル部分に穴が開いているのが確認できます。
ただし、これはシノケラトプスに限った特徴ではありません。
トリケラトプスなど一部の例外を除き、ほとんどの角竜のフリルの骨には穴が開いています。これは、頭部の軽量化を目的とした構造だと考えられています。
そして、生きていた当時はこの穴の部分に皮膚やウロコなどの軟組織が覆っていたため、外からは穴が見えなかったというのが一般的な考えです。
つまり、シノケラトプスのフリルに穴が開いていたかどうかは、実際の姿でははっきりとは分かりませんが、それは他の多くの角竜にも共通する特徴なのです。

Danny Cicchetti, modified by User:MathKnight, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
研究史
「シノケラトプス」という名前は、「中国の角のある顔」という意味で、ギリシャ語の「ケラトプス(角の顔)」と「シノ(中国)」を組み合わせて名付けられました。
2008年に中国の山東省で発見され、アジアで初めてセントロサウルス亜科」に分類された角竜として、大きな話題を呼びました。
これは、角竜の進化や分布に関する従来の考え方を大きく揺るがす発見だったのです。
分類
恐竜
- 竜盤目
- 獣脚類
- 竜脚形類
- 鳥盤目
- 周飾頭類
- 角竜類
- プシッタコサウルス科
- プロトケラトプス科
- ケラトプス科
- カスモサウルス亜科
- カスモサウルス
- トリケラトプス
- セントロサウルス亜科
- スティラコサウルス
- ナストケラトプス
-
シノケラトプス
- カスモサウルス亜科
- 堅頭竜類
- 角竜類
- 装盾類
- 剣竜類
- 曲竜類
- 鳥脚類
- 周飾頭類