
「三本の角を持つ恐竜」として、あまりにも有名なトリケラトプス。
大きなフリル(えり飾り)と鋭い角を武器に、あのティラノサウルスともしばしば対決したと語られる、白亜紀を代表する植物食恐竜です。

生態
トリケラトプスの最大の特徴は、顔の三本の角と、首を守るように広がった大きなフリルです。
額の2本の角は長さ1メートルを超えることもあり、鼻の角は太くて短く、攻防両面で活躍したと考えられています。
くちばしはインコのように鋭く、硬い植物をかみちぎるのに適した形状です。
歯は奥に何百本も並んだ「デンタルバッテリー」と呼ばれる構造で、
すり鉢状に磨耗しながら新しい歯に置き換わる仕組みがあり、シダやヤシ、低木などの堅い植物も効率よくすり潰して食べていたようです。

種の多様性
トリケラトプスには、以下の2つの種が存在するとされています。
トリケラトプス・ホリドゥス(Triceratops horridus)
→ より古い時代に生きていた。鼻の角が短いのが特徴。
トリケラトプス・プロルスス(Triceratops prorsus)
→ より進化した種で、全体的に体が大きくなる傾向がある。

Tim Evanson from Cleveland Heights, Ohio, USA, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons

Photaro, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
ツノの使い方
角竜たちの自慢の角は、もちろんティラノサウルスなどの捕食者に対する防御としての役割を果たしていたと考えられます。
一方で同種間での争いに使われていた可能性も高いとされています。
模型やデジタルシミュレーションによる研究では、角の角度や形状が「押し合い」に適していることが確認されています。
特にトリケラトプスの角は他の角竜に比べて太く、角の根元に傷が多く見つかっています。
同種間での力比べを考えると「突き刺す」よりも安全に力を誇示することができそうですね。
皮膚の痕跡
最近になって、トリケラトプスの皮膚(ウロコ)の痕跡が発見されました。
首や背中には小さなウロコが密集しており、腹部にはより大きなウロコが見られます。
さらに、腰回りや足には5センチほどの大きなウロコがあり、そこから棘が生えていた可能性もあります。
この発見により、トリケラトプスの外見や防御能力についての理解が深まりました。

Phil R. Bell, Christophe Hendrickx, Michael Pittman, Thomas G. Kaye & Gerald Mayr, CC BY 4.0, via Wikimedia Commons
研究史
「トリケラトプス」という名前は「三本の角の顔」(トリ=3、ケラト=角、オプス=顔)を意味し、1889年にアメリカのオスニエル・チャールズ・マーシュによって命名されました。
多くの化石が発見されているため、トリケラトプスは最もよく知られた角竜のひとつであり、現代の恐竜学においても重要な研究対象です。
トロサウルス(より大きく穴のあるフリルを持つ角竜)との関係も議論されています。
「トロサウルスはトリケラトプスの成体ではないか?」という説が一時期注目されましたが、現在は別種とする見方が有力です。
また、トリケラトプスは恐竜絶滅の直前まで生きていた種とされており、「最後の恐竜」の象徴としても知られています。
分類
恐竜
- 竜盤目
- 獣脚類
- 竜脚形類
- 鳥盤目
- 周飾頭類
- 角竜類
- プロトケラトプス科
- プシッタコサウルス科
- ケラトプス科
- セントロサウルス亜科
- カスモサウルス亜科
-
トリケラトプス
-
- 堅頭竜類
- 角竜類
- 装盾類
- 剣竜
- 曲竜類
- 鳥脚類
- 周飾頭類