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アジアの生態系の頂点に君臨していた、巨大な肉食恐竜です。
見た目は北アメリカのティラノサウルスとそっくりで、「アジアのティラノサウルス」とも呼ばれています。
アジアのティラノサウルス
タルボサウルスは、「恐竜の王」とも呼ばれるティラノサウルスによく似た姿をした大型肉食恐竜です。
あまりにもよく似ているため、一時期は「ティラノサウルス・バタール」として、ティラノサウルス属に含めるべきだという意見もありました。
しかし、生息地が北アメリカとアジアで大きく離れていることや、骨格にいくつかの明確な違いが認められることから、現在では独立した属であるタルボサウルスとして扱われるのが一般的です。

ティラノサウルスとの違い
タルボサウルスはティラノサウルスとそっくりな姿をしていますが、詳しく骨格を調べると、それぞれの環境に適応した独自の進化を遂げていることが分かります。
最も大きな違いは、頭骨の形です。
ティラノサウルスの頭骨は後部が横に大きく広がっていて、両目が前を向くことで、獲物との距離を正確に測れる「立体視」に優れていたと考えられています。
一方、タルボサウルスの頭骨は比較的幅が狭くなっていて、鼻骨の盛り上がりが目立ちます。
また、どちらも強い噛みつきをした肉食恐竜ですが、ティラノサウルスのほうがより高い咬合力を出せた可能性が高いようです。
タルボサウルスも下あごはかなり頑丈で、強い噛み砕きに適したつくりを持っていましたが、力のかかり方がティラノサウルスとは違っていたと考えられます。

Jørn H. Hurum and Karol Sabath, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons
生活環境
恐竜の歯のエナメル質は非常に丈夫で、何千万年もの間、当時の化学的な情報を保存していることがあります。
タルボサウルスの歯を削って炭素同位体を分析した研究では、その比率が「針葉樹林で生活していた草食動物を食べていたた」ことを示しています。
また、当時のモンゴルは現在のような乾燥した砂漠ではなく、モンスーンの影響を受ける比較的温暖で湿潤な環境で、季節(暑い時期と雨の多い時期)もあったようです。
河川や森林が広がる豊かな植生に支えられた生態系の中で、大型ハドロサウルス類や竜脚類、デイノケイルスのような大型動物を捕食しながら生活していたと考えられています。

成長過程
モンゴルのゴビ砂漠で、タルボサウルスの幼体(子供)の化石が発見されています。
保存状態は非常に良く、この化石のおかげでタルボサウルスが成長とともにどのように姿を変えていったのかが詳しく分かっています。
子どものタルボサウルスは、大人に比べて顔が細長く、歯も薄くてナイフのようになっていました。
大人のような「骨を噛み砕くほどの強い顎」は持っていなかったため、若い頃は小型恐竜やトカゲなどの素早い獲物を追いかけていたと考えられています。
そして成長するにつれて頭骨や顎が頑丈になり、最終的には大型の草食恐竜を狩る頂点捕食者へと変化していったのでしょう。

Olivia Plateau & Christian Foth, CC BY 4.0, via Wikimedia Commons
研究史
「タルボサウルス(Tarbosaurus)」という名前は、ギリシャ語で「恐ろしいトカゲ」を意味します。
最初の化石は1946年、モンゴルのゴビ砂漠で行われたソビエト(今のロシア)とモンゴルの共同調査隊によって発見されました。その後、1955年にソビエトの古生物学者エフゲニー・マレーエフによって命名されました。
ゴビ砂漠は非常に乾燥していて化石の保存状態が良く、タルボサウルスは頭骨だけでなく、ほぼ全身の骨格や、子供の恐竜の化石まで見つかっています。
こうした豊富な標本によって、タルボサウルスはティラノサウルス類の中でも特に研究が進んでいる恐竜の一つとなっています。
分類
恐竜
- 竜盤目
- 獣脚類
- テタヌラ類
- スピノサウルス科
- ドロマエオサウルス科
- アロサウルス科
- ティラノサウルス科
- ティラノサウルス
-
タルボサウルス
- ケラトサウルス類
- テタヌラ類
- 竜脚形類
- 獣脚類
- 鳥盤目
- 周飾頭類
- 角竜類
- 堅頭竜類
- 装盾類
- 剣竜類
- 曲竜類
- 鳥脚類
- 周飾頭類