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「優しいお母さんトカゲ」という名前を持つ、ハドロサウルス科(カモノハシ竜)の植物食恐竜です。
はじめて「恐竜が子育てをしていた」可能性が見つかり、それまで「他の爬虫類のように卵を産みっぱなしにしていた」と思われていた恐竜のイメージを覆しました。
子育ての証拠
マイアサウラと言えば、恐竜が子育てをしていたことを初めて証明した恐竜です。
発掘現場では、「親恐竜」の化石だけでなく、すり鉢状に掘られた泥の「巣」、孵化した後の「卵の殻」の破片、さらにとても若い「幼体」の化石がセットで見つかりました。
これらから、マイアサウラは卵を産んだ後もその場所に留まり、巣の中で生まれたばかりの赤ちゃんを大切に守っていたと考えられています。

親の世話を必要とした赤ちゃん恐竜
マイアサウラの巣の中に見つかった「赤ちゃん恐竜」の骨を詳しく調べると、足の関節部分の骨が未完成で、すぐにはうまく歩けない状態だったことが分かりました。
さらに、巣の中に残されていた幼体の歯には、硬い植物を噛んだときの摩耗(すり減り)の跡が残っていました。
自力で遠くまで歩いてエサを取りに行けない幼体の歯がすり減っていたということは、親恐竜が外からエサを運んできて与えていた証拠と言えます。

急速な成長
マイアサウラの骨の断面を調べると、樹木の年輪のような「成長線」が残されており、彼らの成長の様子を詳しく知ることができます。
この骨の中に刻まれた「成長の記録」を分析した結果、幼体期の成長速度が非常に速かったことが分かっています。
生まれたときは体長30センチほどしかなかった小さな赤ちゃんが、親から大量のエサをもらうことで急激に大きくなり、数年で数メートルもの大きさにまで成長したと考えられています。
親の手厚い保護と猛スピードの成長は、肉食恐竜から生き残るためのマイアサウラの生存戦略だったのではないでしょうか。
集団での営巣と社会構造の謎
マイアサウラは1つの巣だけでなく、同じ地域に無数の巣が密集した「巨大なコロニー(繁殖地)」を作って生活していました。現生のペンギンのように、天敵から身を守りながら集団で子育てを行っていたと考えられています。
しかし、こうした手厚い子育ての中で、オスとメスのどちらがどの程度世話をしたのか、あるいは群れ全体で協力していたのかなど、詳しい役割分担や社会構造についてはまだ分からない部分が多く残されています。
また、どのような理由で毎年同じ繁殖地に戻ってきたのかなど、彼らの暮らしぶりには今も多くの謎が秘められています。

研究史
マイアサウラという名前は、ギリシャ語で「優しい母トカゲ(Maia=良い母、Saurus=トカゲ)」という意味を持っています。
竜の学名には「〜サウルス」と男性形の語尾がつくことが一般的ですが、子育ての証拠に敬意を表して、珍しく女性形の「〜サウラ」と名付けられました。
(しかし、上で書いたように子育てをしていたのが「父親」の可能性もあります)
1978年、アメリカ・モンタナ州にあるツー・メディスン層で、化石ハンターのマリオン・ブランドボルドによって多数の幼体を含む巣状の化石が発見されました。
その後、1979年に古生物学者ジャック・ホーナーとロバート・マケラによってマイアサウラとして命名されました。
この発見があった場所は、のちに「エッグマウンテン(卵の山)」と呼ばれるようになり、恐竜の繁殖や成長、親による世話を考えるうえで大きなキッカケとなりました。

分類
恐竜
- 竜盤目
- 獣脚類
- 竜脚形類
- 鳥盤目
- 周飾頭類
- 角竜類
- 堅頭竜類
- 装盾類
- 剣竜類
- 曲竜類
- 鳥脚類
- イクアノドン科
- ヒプシロフォドン科
- ハドロサウルス科
- ランベオサウルス亜科
- ランベオサウルス
- パラサウロロフス
- ハドロサウルス亜科
- カムイサウルス
- エドモントサウルス
-
マイアサウラ
- ランベオサウルス亜科
- 周飾頭類