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「卵泥棒」という不名誉な名前を与えられながら、実際には深い愛情で卵を守っていた白亜紀の恐竜です。
濡れ衣
オヴィラプトルを語るうえで絶対に外せないのが、歴史的な「濡れ衣」のエピソードです。
彼らの最初の化石は、草食恐竜プロトケラトプスの卵とみられる化石のすぐ上で発見されました。
そのため当時の研究者は、「プロトケラトプスの卵を盗んで食べようとしていたに違いない」と考え、オヴィラプトル(卵泥棒)と名付けたのです。
しかし発見から約70年後の1990年代、同じタイプの卵の中から、オヴィラプトル類の赤ちゃんの化石が見つかりました。
さらに、オヴィラプトルと近縁の種のシチパチという恐竜では、卵の上に覆いかぶさるような姿勢で化石になった個体も発見されました。まるで現代の鳥が巣の中で卵を温めている姿とそっくりです。
つまり彼らは卵を盗んでいたのではなく、自分の卵を守っていた親だったのです。

Steve Starer from Commack NY, USA, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons
歯のないクチバシ
オヴィラプトルの顔は、現代のオウムやインコを思わせる、短くて頑丈なクチバシを持っていました。
口の中には歯が一本もなく、その代わりに顎の骨の一部が発達していました。
かつて「卵泥棒」だと考えられていた頃は、このクチバシで卵の殻を割って中身を食べていたと考えられていました。
しかし現在では、この強力なクチバシを使って硬い木の実やタネを砕いていたとする説や、貝・小動物なども食べる雑食性だったとする説が有力です。

Jaime A. Headden, CC BY 3.0, via Wikimedia Commons
鳥に近い姿
オヴィラプトルは、鳥類に非常に近い「マニラプトル類」というグループに属しています。
このため、全身が羽毛で覆われていた可能性が極めて高いと考えられています。
前肢には翼のような羽が生えており、これを使って巣の中の卵を包み込み、冷気や外敵から守っていたのでしょう。
その姿は、いわゆる「恐竜」というよりも、ダチョウやエミュー、ヒクイドリのような大型の鳥に近かったと考えられます。
研究史
「オヴィラプトル」という学名は、ラテン語で「卵泥棒」を意味します。
また種小名「フィロケラトプス(philoceratops)」は「ケラトプス類を好むもの」という意味で、当初はプロトケラトプスの天敵と考えられていました。
最初の化石は1923年、探検家ロイ・チャップマン・アンドリュース率いるアメリカ自然史博物館の調査隊によって、モンゴルのゴビ砂漠で発見され、翌年に古生物学者ヘンリー・フェアフィールド・オズボーンによって命名されました。
実は、オズボーン自身も論文の中で「この名前は誤解かもしれない」と付け加えていました。
そして1993年、マーク・ノレルらの研究によって、オヴィラプトルが卵を守っていた証拠が発見され、その予感は見事に的中します。
こうして、オヴィラプトルの名誉はついに回復されたのです。
ただし、一度つけられた学名は簡単には変更できないため、現在でも「卵泥棒」という名前のままとなっています。
この名前と本来の姿のギャップこそが、今ではオヴィラプトル魅力のひとつと言えますね。
分類
恐竜
- 竜盤目
- 獣脚類
- ケラトサウルス類
- テタヌラ類
- スピノサウルス科
- コエルロサウルス類
- ティラノサウルス科
- オルニトミモサウルス類
- マニラプトル類
- テリジノサウルス類
- トロオドン科
- ドロマエオサウルス科
- デイノニクス
- ミクロラプトル
- オヴィラプトル科
- シチパチ
-
オヴィラプトル
- 竜脚形類
- 獣脚類
- 鳥盤目
- 周飾頭類
- 角竜類
- 堅頭竜類
- 装盾類
- 剣竜類
- 曲竜類
- 鳥脚類
- 周飾頭類
